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L−カルノシンは、強迫性障害の補助療法に効果的?(推奨度:★★★☆☆)

みなさん、お大事にされていますか?

薬のソムリエです。

今回は、L−カルノシンが、強迫性障害の補助療法に効果的とする研究を紹介します。

 

L−カルノシンは、筋肉中の成分だそうで、

筋トレ補助、アンチエイジング目的で好まれているサプリメントです。

食品では、鶏肉、豚肉、牛肉に多く含まれます。

また、強迫性障害とは、

強迫性障害は、本来ならば気にしなくてもよいという考え(強迫観念)に抗えず、

特定の行動(強迫行為)を反復し日常生活に支障をきたすことが特徴的な疾患です。

治療は薬物療法と認知行動療法が主なものとなりますが、

治療によっても20%から40%の患者さんは改善せず、慢性化するとされています。

 

強迫性障害の病因として、グルタミン酸の調節不全が指摘されており、

先行研究では、L-カルノシンのグルタミン酸に対する調節効果が指摘されていた。

(グルタミン酸の調節不全が、強迫性障害の病因であり、

なおかつ、L-カルノシンがグルタミン酸に対する調節効果を有するとするならば、

L-カルノシンは、強迫性障害に効果があると考えることができますね。)

 

さて、本研究では、

フルボキサミンで治療中の強迫性障害患者に対する補助療法としての

L-カルノシンの有効性の評価を行いました。

また、ここで、「フルボキサミンって何?」と疑問をお感じだと思います。

フルボキサミンは、

標準治療で使われる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一つです。

専門用語が頻発して申し訳ないのですが、まあ、そういうものだと思ってください。

 

紹介を続けます。

本研究では、中等度から重度の強迫性障害と診断された患者に対し、

開始時、4週目、8週目、10週目において、フルボキサミンに加えてL-カルノシンを服用させたところ、

同様に、有効成分のない薬(プラセボ)を服用させた対象者群と比較して、

10週目でのY-BOCSスコア(強迫症状の評価尺度)のベースラインからの変化は、

プラセボ群の5.86±2.88と比較して、L-カルノシン群では8.86±2.89(平均±SD)でした。

したがって、時間が経過すればするほど、有意に強迫症状が減少したことが示されました。

 

本研究論文の著者らは、

「L-カルノシンは、フルボキサミンの補助療法として使用した場合には

強迫症状を軽減させる可能性がある」

と述べています。

 

薬のソムリエ
Y-BOCSスコアの満点は40点なので、
なんだ3点ほどの違いか・・・と考えがちですが、
強迫性障害は難治性の病気です。標準治療でも中々改善せず、
苦しい思いをしている患者さんも大勢いる中で、
サプリメントで3点減少したのは大きな効果だと考えるべきでしょう。
ちなみに海外では1000-2000mg/日の量で服用をした治験が多いです。
あ、あとこの研究は
あくまでフルボキサミンとの併用で得られたデータ
ですからね!サプリ単独の有効性を示したものではない点にご注意下さい。

 

 

【引用・参考文献】
・Arabzadeh Somaye et al. L-carnosine as an adjuvant to fluvoxamine in treatment of obsessive compulsive disorder: A randomized double-blind study. Human psychopharmacology 2017.0701 Vol. 32 issue(4)

 

更新;2020.4.11

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