皆さん、お大事にされていますか?薬のソムリエです。
今回は、N-アセチルシステインが強迫性障害に有効であることを示唆した研究を紹介します。
N‐アセチルシステインは、L‐アセチルシステインの安定型といえるもので、
実際に天然のサプリメントとして市販されているのは、L-アセチルシステインですね。
今回の研究では、N−アセチルシステインの有効性を検証した5件のランダム化ブラセボ対照試験をはじめとした、
これまでの研究を分析したレビューをしたものです。
結論としては、その効果に一貫性はみられませんでした。
具体的には、4つのランダム化試験のデータを分析すると、
強迫症状のスコア(Y−BOCS)の平均差は3.35点あったのですが、
有意性を証明するにはわずかに届かなかった、という形です。
この研究論文の著者らは、N−アセチルシステインは高容量でも副作用が少ないため、
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)をベースとした上での
補助療法としての利用価値はあるかもしれないと結論付けています。

L-アセチルシステインは強迫性障害をはじめ、 他の精神疾患に対しても悪くはなさそうです。 ランダム化試験では、一般的に12週間、2,400〜3,000 mg /日の N−アセチルシステインを使用したそうです。 一般的な薬物療法のオカズに、検討されてみるのもよいかもしれません。
【引用・参考文献】
・Couto José Paulo,et al.Oral N-acetylcysteine in the treatment of obsessive-compulsive disorder: A systematic review of the clinical evidence.Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry,2018 0830.Vol. 86
更新:2020.5.22
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