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双極性障害には光治療が有効?(推奨度:★★★☆☆)

ウエタ主任
最近、日の落ちるのも早くなってきましたな。

 

薬のソムリエ
もうすっかり冬ですからね~。
ウエタ主任
冬は大抵気分が落ち込むので、好きではありません。
今まで生きてきて、冬にいいことがあった試しがないです。

 

 

薬のソムリエ
ふーむ、それはもしや。
「季節性感情障害」の可能性が、ありますよ?
ウエタ主任
なんでしょうか、それは。

 

 

薬のソムリエ
日照時間が短くなる、秋冬に症状が悪化して、
春夏に気分が回復する病気があるんです。
気分が落ち込むことで困る病気なんですが・・・
ウエタ主任
ふむ、聞いたことがあります。
なんでも、光を照射して治療するとか、なんとか。
薬のソムリエ
そのとおり。高照度光療法、と言っています。
それでもって、
季節性感情障害は、双極性障害との関連のある病気だとも
言われていました。
ウエタ主任
つまり、うつ病よりも躁うつ病と関連のある病気だと?

 

薬のソムリエ
まあ、そう名言できるほどの医学的根拠(エビデンス)はないのですが。
でも、今日ご紹介する研究は、
双極性障害の方に対して光療法をするとよかった、という内容なんですよ。
ウエタ主任
ほう。季節性感情障害、とやらへの治療が躁うつ病に効いた、と言いたいのですな。
どれどれ・・・・

 

 


双極性障害の効果的な補助療法の1つとして、ブライトライト光療法(BLT)が報告されている。これまでのメタ解析では、光療法による補助療法が、双極性うつ病の重症度を有意に改善させることが示唆されている。しかし、メタ解析に含まれた多くの研究は、不眠症治療と組み合わせたBLTに焦点が当てられており、双極性障害のうつ病相に対しては十分検討がされていなかった。大分大学の平川 博文氏らは、双極性うつ病に対する補助的BLTに関するランダム化比較試験(RCT)を抽出し、メタ解析を実施した。
EMBASE、MEDLINE、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Clinicaltrials.govの電子データベースより、2019年9月19日までに英語で発表された、薬物治療中の双極性うつ病患者に対する補助的BLTの有効性を検討したRCTを検索した。文献スクリーニング、データ抽出、方法論的質の評価は、独立した2人の研究者により実施された。主要アウトカムは、治療反応率と寛解率とした。メタ解析には、Review Manager 5.3ソフトウェアを用いた。結果は以下のとおりとなった。

・4研究より、双極性うつ病患者190例(BLT群:94例、対照群:96例)を評価し、光療法の効果を検証した。
・メタ解析では、双極性障害の治療反応率に対する光療法の有意な効果が確認された(リスク比:1.78、95%CI:1.24~2.56、p=0.002、I2=17%)。
・しかし、寛解率に対する有意な効果は確認されなかった(リスク比:2.03、95%CI:0.48~8.59、p=0.34、I2=67%)。
・重篤な悪影響は報告されず、躁転率もBLT群で1.1%、対照群で1.2%であった。

著者らは「BLTは、双極性うつ病患者のうつ症状を軽減するうえで、効果的な治療法である」としている。


※高照度光療法(7000ルクス、白色光線)を受け、もう一方のグループ(23人)は偽刺激として暗めの赤色光が照射

ウエタ主任
なるほど。しかし冬ってのは、
忘年会だの、クリスマスだの、年末年始だの。
あと、新年会だの。やっかいなイベントが多くて、
本当に気分が下がりますな。

 

薬のソムリエ
ああ、そっちのほうでしたか。
それはもうどれだけ光を照射してもダメそうですよ。
シンプルに根暗なだけ。

【引用・参考文献】
Hirakawa H, et al. Adjunctive bright light therapy for treating bipolar depression: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Brain Behav. 2020 Oct 9.