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大うつ病性障害(うつ病)の標準的治療とは? (推奨度:★★★★★)

薬物療法

・重症例を除き、まずは新規抗うつ薬(SSRI/SNRI/NaSSA)を第一選択とし、場合によっては抗不安薬や睡眠導入薬などの併用を検討する。
※SSRI=選択的セロトニン再取り込み阻害薬SNRI=セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬NaSSA=ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
・副作用として、SSRIは下痢、吐き気、不眠、頭痛、性機能障害などが、SNRIは口渇、頭痛、尿閉などが、NaSSAは食欲増加、眠気などが生じやすい。

生理学的治療

・薬物療法では治療抵抗性の、難治性のうつ病に対しては、経頭蓋磁気刺激療法(TMS)が適応可能となる。
・治療抵抗性のうつ病や、速やかな治療効果を必要とする場合には、電気痙攣療法(ECT)を考慮する。

心理教育

・患者、家族に対して疾患の予後や対処法について説明し、理解を助けることは服薬のアドヒアランスを高めるうえで有用である。

精神療法

・支持的精神療法、認知行動療法、リラクゼーション法などが推奨されている。それらの方法を体得すれば、効果は長期間維持される。
・認知行動療法は、患者の過剰な心配を事実とかけ離れている事を明確にし、ポジティブな自己表現に置き換えることで、現実的でない考えを修正するものである(患者用の認知行動療法のパンフがある)。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf
・疾患への対処改善能力や対人関係能力の改善や自己評価を高めるため、社会生活技能訓練(SST)や問題解決技能訓練などが検討される。
・リラクゼーション法は、心身の寛ぎを得るための方法であり、腹式呼吸などの呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法などがある(下記参照)。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/13282/00000000/relax.pdf

自宅でできる効果的な対処法

・高照度光療法や経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)、インターネット支援型認知行動療法は精神科受診せずに実施可能であり、有効とのエビデンスがある。詳細はこちら。

その他

・うつ病による二次的な症状として不安、睡眠障害などがある。その場合は、不安障害や睡眠障害に順じた標準治療を対症療法的に行う。その場合、こころの処方箋のような自己対処法も有効性が期待できる(不安障害睡眠障害のこころの処方箋参照)。

【引用・参考文献】
・日本うつ病学会 日本うつ病学会治療ガイドライン 2016 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724.pdf
・樋口輝彦(編) 今日の精神疾患治療指針第二版 医学書院 2016 

更新:2020.4.1

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