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適量のオメガ3脂肪酸は、うつを予防する(推奨度:★★★☆☆)

皆さん、お大事にされていますか?

薬のソムリエです。

今回は、オメガ3脂肪酸にうつを予防する効果があることを示唆した研究を紹介します。

 

オメガ3脂肪酸とは、

体内のさまざまな機能にとって重要な多価不飽和脂肪酸に属しており、

オメガ3脂肪酸のEPAやDHA、DPAは、脂肪が多い魚や甲殻類のような海産物に含まれています。

サプリメントでも入手できますので、聞いたことのある方も多いかもしれませんね。

 

これまでも、オメガ3系脂肪酸には、

免疫力を高めたり、体の炎症を鎮め、神経を保護するなどの多様な作用があり、

それらが複合的に作用する事で抗うつ効果を示すのではないかと考えられていました。

また、過去の研究において、

うつ病患者は健常者と比べて血液中のオメガ3脂肪酸が低いことや、

オメガ3脂肪酸サプリメントを摂取するとうつ病が改善した例が報告されていました。

精神系以外では、循環器領域でも注目されていて、

心血管関連の疾患死亡率を有意に低減させた、というエビデンスもあり、

海外では人気のあるサプリメントとなっています。

 

さて本研究では、追跡調査に基づいて、

うつ病と診断された患者とオメガ3脂肪酸の摂取量、およびうつ病との関連を調べました。

対象者は1990年時点で長野県のある村に在住の40~59歳の1,181人としました。

その結果、EPAを1日に200mg(中央値)摂取するグループよりも1日307mg(中央値)摂取するグループが、

また、DPAを1日に67mg(中央値)摂取するグループよりも1日123mg(中央値)摂取するグループが、

共にうつ病のリスクが低かったことが示されました。

一方、他のn-3系脂肪酸(DHAほか)とうつ病との明らかな関連は見られなかったとしています。

本研究論文の著者らは、

「魚介類やオメガ3系脂肪酸は摂ればとるほどうつ病リスクが下がる訳ではないが、

ある量まではリスク低下に有効であり、それ以上とるとよい影響がみられなくなるようだ」

と述べています。

 

薬のソムリエ
EPAやDPAを適切に(1日でEPA307mg、DPAを123mg)摂ると、
うつ病リスクが半減ですか…。このデータは結構凄いと思います。
どちらも適切に摂ると、かなりの予防効果があるのでは?
と期待させてくれる報告です。
ただ、結果は取りすぎだと有益性は減少してしまったことは注意が必要です。
この研究そのものはコホート研究と言われ、それほどエビデンスレベルは高くないですが、これまでのメタアナリシスでもほぼ同様の有効性がみられていることから推奨度★★★としています。
EPAは不安にも効果がある事が分かっていますが、不安に対する推奨摂取量と、かなり差があるのが不思議です・・・。
今後データが蓄積していけば、最適な量が分かるのかもしれません。

 

【引用・参考文献】
・Y J Matsuoka et al. Dietary fish, n-3 polyunsaturated fatty acid consumption, and depression risk in Japan: a population-based prospective cohort study.Translational Psychiatry volume 7, pagee1242(2017).
・厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業(
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/05.html)
更新:2020.4.12

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