みなさん、お大事にされていますか?
薬のソムリエです。
今回は、チェストベリーが月経前症候群(PMS)に有効であることを示唆した研究を紹介します。
月経前症候群(PMS)とは、
月経前の数日から2週間にわたり、うつ病患者に似た重い気分症状が出現するなど、
日常生活に支障をきたすものを言います。
ただし、症状は月経開始とともに速やかに消失し、月経後の1週間は、
ほぼ完全に症状が消失していることが特徴的です。
何らかのストレスをきっかけとして発症することが多く、
未治療の場合、妊娠・授乳中を除き、通常は閉経するまで症状が繰り返される事が多いです。
なお、通常は薬物療法が効果的とされ、精神科受診が推奨されています。
そして、チェストベリーについてですが、
実は、昔からPMSによいといわれていたハーブの一つなんですね。
月見草抽出エキスに含まれるγ-リノレン酸と並んで人気でした。
さて、今回紹介する研究では、
月経前症候群(PMS)に対するチェストベリーの有効性を、
メタ分析を用いて評価しました。
ちなみに、メタ分析とは、「分析の分析」を意味し、
今回の研究では、「PRISMAガイドライン」なるものに従って選別された3つの研究が、
解析に用いられました。
520名の女性被験者を対象に解析を行った結果、
チェストベリーを用いた群は、プラセボ(比較のために用いられる、有効成分のない偽薬)群と比較して
症状が軽減し、症状が消失する可能性が2.57倍高くなったとのことです。
ただし、この研究論文の著者らによれば、
チェストベリーの有効性を報告した研究は不完全・不十分であることから、
今後のより厳格な有効性評価の必要性が主張されています。

チェストベリーは医者からみても使う価値がありそうだと思います。
他にも、ビタミンB6もメタ解析の結果効果ありとされています。
紹介するアプリは、ビタミンB6もチェストベリーも含まれており、
効く可能性があるんじゃないかと…。
そのほかにも、ビタミンDやカルシウムの有益性も、
ちらほら報告されています。
PMSの標準治療である、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
を服用したくない場合は、
それらから試してみるのもよいかもしれませんね。
【引用・参考文献】
・Csupor Dezső, et al.Vitex agnus-castus in premenstrual syndrome: A meta-analysis of double-blind randomised controlled trials. Complementary therapies in medicine.2019Dec01 Vol. 47
・Retallick-Brown,et al.A Pilot Randomized Treatment-Controlled Trial Comparing Vitamin B6 with Broad-Spectrum Micronutrients
for Premenstrual Syndrome.Journal of alternative and complementary medicine (New York, N.Y.) 2020Jan10
更新:2020.4.9
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