薬物療法
・アルツハイマー病型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症では、認知機能の維持効果を期待してコリンエステラーゼ阻害薬や、NMDA受容体拮抗薬が検討される。
・血管性認知症では、脳梗塞予防のため、抗血小板薬などの内服が検討される。
・ウェルニッケ脳症など、ビタミンB12欠乏が認知機能低下の原因になる場合は、ビタミンB12の補給が第一選択である。
・甲状腺機能低下症など、内分泌機能障害が認知機能低下の原因になる場合は、甲状腺ホルモンの補充が必要となる。
・ウイルス性脳炎など、感染症が認知機能低下の原因になる場合は、その感染症に対する薬剤が第一選択となる。
・興奮、不安、抑うつ、妄想などの行動・心理症状に対しては漢方薬や抗精神病薬、抗うつ薬などの内服が検討される。
手術療法
・正常圧水頭症や硬膜下血腫、脳腫瘍などの頭蓋内の病変が原因で認知機能低下をきたしている場合は、手術の適応が検討される。
心理教育
・認知機能の低下をきたす原因となり得る薬剤を服用している患者に対しては、必要性の評価を行い、かかりつけ医と連携をとって減薬や中止を試みる。
・アルコールを長期使用している場合は、脳が萎縮し認知機能低下の原因になることがあるため、断酒を試みる。
・貧血や高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、うつ病、不眠、喫煙、難聴は認知症のリスクを高めるため、必要であれば医学的介入が望ましい。
・運動、地中海式の食事、社会的交流や趣味は認知症予防効果が期待できる。地中海式の食事についての説明は下記サイトを参照。
https://serai.jp/health/267866
心理・社会的治療
・軽症の場合、本人が主体的に参加できる認知症リハビリや認知症カフェ、地域包括センター、家族会などの情報提供を行う。
・リアリティオリエンテーション、回想法、芸術療法、行動分析、運動やゲームなどのレクリエーション活動の有効性が示唆されている。下記のサイトに詳細が記載されている。
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/index.html
・介護家族の心理状態に配慮し、ケアマネージャーと相談の上で適宜社会資源の利用を行い、介護負担の軽減を行う。
【引用・参考文献】
・柴崎俊一(著)山中克郎(監) 今日の臨床サポート「認知症」
https://clinicalsup.jp/jpoc_sp/contentpage.aspx?DiseaseID=837&SearchText=認知症(2019年3月5日)
・健康長寿ネット「認知症」
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/index.html
・樋口輝彦(編) 今日の精神疾患治療指針第二版 医学書院 2016
・サライ.jp
https://serai.jp/health/267866
更新:2020.4.1
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