皆さん、お元気にしていますか?
薬のソムリエです。
今回は、オメガ3脂肪酸が、脳萎縮を遅らせることを示唆した研究を紹介します。
なお、オメガ3脂肪酸のうちEPAとDHAは、サケ、マグロといった脂の多い魚などに含まれています。
(サプリメントでも摂ることができます。)
オメガ3脂肪酸の摂取が、アルツハイマー病型認知症になる機会を減少させる可能性があるもののひとつ
であることは、すでによく知られています。
なお、アルツハイマー病型認知症とは、記憶障害と実行機能障害(道具や器具などが使えなくなる)、
精神・行動障害(うつや不安、被害妄想)など多彩な症状を呈することを特徴とする疾患のことです。
脳に蓄積する特定の蛋白質の異常な反応により、
神経細胞の性質が変化してしまうことが原因と考えられています。
この疾患は、ゆるやかに進行し、概ね発症から死亡まで平均10年程度といわれ、
最終的には無言・無動状態となり、寝たきりになります。
現時点では完全に治癒することは難しいとされる疾患です。
さて、今回紹介する研究では、1,111人の女性を対象に、赤血球中オメガ3脂肪酸EPA+DHAのレベルを測定し、
さらに、8年後(平均年齢78歳)にMRIで脳容量を測定し、
赤血球中のオメガ3脂肪酸のレベルと、脳容量との関連性を調査しました。
その結果、オメガ3脂肪酸のレベルが2倍高ければ(3.4%に対して7.5%)、
脳容量が0.7%大きいということが分かりました。
また、オメガ3レベルの高い人は、海馬の容量も2.7%大きかったことが示されました。
(海馬は脳の器官で、記憶に重要な役割を果たしているとされています。)
この研究論文の執筆者によれば、
食事やサプリメントによってオメガ3脂肪酸のレベルを高めることができることを前提に、
オメガ3脂肪酸による脳萎縮の抑制によって、
通常の加齢による脳細胞損失を1~2年遅らせることができる
ことが示唆された、としています。

信憑性がありますね。2019年のランダム化試験のメタ解析でも、
オメガ3脂肪酸は認知症予防や治療ツールとして利用できると
結論付けられています。
サプリを使う場合などは、
認知機能低下の原因が多々あるのと同様に、
栄養もひとつのものに頼るのではなく、複数使うのがいいでしょうね。
ちなみに、貧血、糖尿病や高血圧、脂質異常症や喫煙、睡眠障害は
アルツハイマー型認知症発症のリスクになるため、
内科的疾患の管理や、良好な睡眠を保つことも心がけましょう。
【引用・参考文献】
・CAN FISH OIL HELP PRESERVE BRAIN CELLS? EMBARGOED FOR RELEASE UNTIL 4 PM ET, The American Academy of Neurology.January 22, 2014
Omega-3 fatty acids and cognitive decline: a systematic review. Nutricion hospitalaria 2019 Aug.26 Vol. 36 issue(4)更新:2020.4.6
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