皆さん、お大事にされていますか?
薬のソムリエです。
今回は、イチョウ葉エキスが認知症の周辺症状に効果的であることを示唆した研究を紹介します。
まず、認知症の周辺症状とは何か?という問題ですが、
認知症の中核症状は、記憶力が低下したり、
作業が思うようにできなかったり、
場所が分からなくなったりする、いわゆる認知機能低下ですね。
認知症になると、困った事にそれだけではなく、
そうした物忘れが原因で起きるイライラ、不安、うつなどが出現します。
これを、周辺症状(BPSD)と言います。
もし自分が「覚えている」と思っている事が
ことごとく間違った結果になり、
他人から間違いを指摘され続けていけば・・・
ある程度誰だってイライラしたり、自信を失って行くことは
容易に想像できますね。
これまでの研究から、イチョウ葉抽出エキスであるEGb761が
認知症のBPSD(周辺症状)に有効性があることは、
ある程度示唆されていましたが、その有効性をさらに検証するため、
この研究ではランダム化試験(対象者をランダムにグループ分けする)を20件抽出し、
臨床的に有意なBPSD(NPI総スコア6以上)が認められる認知症患者を解析しました。
なお、ここでは1,628例(EGb761群:814例、プラセボ群:814例)を解析、
治療期間は22~24週で、EGb761の1日用量は、すべての研究において240mgでした。
ちなみに、プラセボとは、比較のために用いられる、有効成分のない偽薬のことです。
解析の結果、EGb761群はプラセボ群よりも、
妄想、幻覚、多幸を除くすべての症状において有意な改善が認められました。
この研究論文の著者らによれば、
イチョウ葉抽出エキスEGb761を用いた22~24週の治療は、
幻覚や妄想など精神病性症状を除くBPSDと、
それに起因する介護者の苦痛も改善した、とのことです。

物忘れなどの認知症の中核的な症状に対する有効性があるというエビデンス
はほぼ無いです。
むしろ、物忘れが原因で起きるイライラ、不安、うつなど
周辺症状を改善する期待があるのですね。
物忘れの不安などでお困りの方は、
サプリを試してもよいと思いますが、
認知症の原因は多種多様なので、
栄養補給も複数とっておくのが好ましいと思います。
【引用・参考文献】
・Savaskan E, et al. Treatment effects of Ginkgo biloba extract EGb 761® on the spectrum of behavioral and psychological symptoms of dementia: meta-analysis of randomized controlled trials. Int Psychogeriatr. 2017 Sep 21.
更新:2020.4.6
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