薬物療法
・新規抗うつ薬(SSRI)を第一選択とし、効果が乏しければSNRIなどの他の薬剤も検討する。不安焦燥や筋緊張の早期軽減、不眠の軽快を目指す時などは抗不安薬や睡眠導入薬などの併用を検討する。
※SSRI=選択的セロトニン再取り込み阻害薬、SNRI=セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
・治療効果は3から6週間で判定する。
・副作用として、SSRIは下痢、吐き気、不眠、頭痛、性機能障害などが、SNRIは口渇、頭痛、尿閉などが生じやすい。睡眠導入薬や抗不安薬の大多数を占めるベンゾジアゼピン系薬剤は、眠気、倦怠感、依存などが懸念される。
心理療法
・支持的精神療法、認知行動療法、リラクゼーション法などが推奨されている。それらの方法を体得すれば、効果は長期間維持される。
・認知行動療法は、患者の過剰な心配を事実とかけ離れている事を明確にし、ポジティブな自己表現に置き換えることで、誤った考えを修正するものである。エクスポージャー法(暴露法)がよく用いられるが、恐怖場面に直面させることで、恐怖心が時間と共に軽快することを実感し、克服する事を目指す。
・リラクゼーション法は、心身の寛ぎを得るため、腹式呼吸などの呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法などがある(下記参照)。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/13282/00000000/relax.pdf
入院適応
・基本的には基本的に通院で治療するが、不安焦燥で安静が保てない場合や、アルコールや薬物依存の治療が必要な場合、共存するうつ病や双極性障害が重篤な場合、家庭環境によって心身の安静が保てない場合は入院を検討する。
自宅でできる効果的な対処法
・高照度光療法や経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)、インターネット支援型認知行動療法は精神科受診せずに実施可能であり不安障害に対しても有効性が示唆されている。詳細はこちら。
その他
不安障害の二次的な症状として、不眠や過眠などの睡眠障害が合併することがある。その場合、対症療法的に睡眠障害の標準治療を併せて行う。睡眠障害に対する自己対処法も有効性が期待できる(睡眠障害のこころの処方箋参照)。
【引用・参考文献】
・樋口輝彦(編) 今日の精神疾患治療指針第二版 医学書院 2016
更新:2020.4.13
高照度光療法 季節性うつ病、睡眠障害に対してエビデンスがあり、臨床の現場で活用されています。セロトニンやメラトニンなどの脳内物質の分泌を助けることで、効果を発揮すると考えられています。他にも、非季節性のうつ病、神経性過食症、月経[…]
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