独断での減薬がお勧めできない理由
理由1:安全に減薬できない可能性が高まる
患者さんから寄せられる相談の中で、
薬を減らしたい、というご要望は多いです。
たとえ効いた薬であっても、
それをずっと続けたくないのが人情ですよね。わかります。
しかし、そうは言っても。
主治医に相談もなく、自己判断で減薬していくことは、
これは精神科医の目線から言わせてもらうと、
正直お勧めできません。
その理由の1つは、離脱症状の可能性が上がってしまうことです。
離脱症状がでた場合、
それまでどの薬を、それくらいの量、どれくらいの期間を空けて減薬したのか、いつ頃から離脱症状が出現したのかを把握しておく事が必要です。
そうでなければ、離脱症状への適切な対処は困難を極めます。
そもそも、勝手な減薬の場合、
減薬ができる状態かを正しく判定できずに減薬してしまうリスクもあります。
やはり、それまでの経過を知っている主治医が、その方にあったベストな減薬法を提案できるので、主治医に相談する事がベストです。
理由2:万が一の時、自己責任になる
そして、他にも大きな理由が。
以前の記事にもありますが、
症状が悪化した時に責任が取れないからです。
なんだかんだ、薬による薬害が起きたとき、主治医の指示を守っている以上は
その責任は、主治医や国にあります。
もし、医療行為による健康被害であると認められた場合、
その損失は、国から補償されることになっています。
しかしご自身で薬を中断した場合、万が一があっても誰も責任をとってくれません…。
抗不安薬や睡眠薬は、ゆっくり減らす
睡眠導入薬や抗不安薬の多くは、ベンゾジアゼピン系と言われる薬剤です。
ベンゾジアゼピン系薬剤は、抗不安作用、鎮静作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用と依存性を持ちあわせています。
この依存性が減薬を困難にさせている原因です。
依存性は、服用から早ければ1ヶ月でリスクが生じる可能性があるといわれています。
急性期の離脱症状としては、不安、イライラに続いて手の震え、頭痛、発汗などが代表的です。
それらは遅くて4週間程度で消失する事が多いですが、
まれに症状が持続する事があり、物忘れや、幻覚や妄想、気分が沈んだり、不安、性機能障害、睡眠障害などに発展し、年単位で持続する事があります。
これを避けるために減薬法があるのですが、
あくまで主治医の先生に相談した上で減薬するのがベストです。
それが色々な理由でできない方に限り、以下を読んで下さいね。
ジアゼパム換算表を使った減薬法と1/8減薬法
まず1つ目は、ジアゼパム換算表を使った減薬法を紹介します。
以下の表をご覧下さい。
うわぁ・・・
もういい。もう無理。
と思った方!安心してください!これからお話しますから!
そもそも、ジアゼパム換算っていうのは、色々な薬に共通の単位を与えて、
その価値を分かりやすくしよう!みたいなものなんです。
たとえば、世界各国には円、ドル、元、ポンドなど、色々な通貨がありますね。
それを、一つの共通貨幣・・・例えば仮想通貨のビットコインみたいなもので価値を計量したものだと考えてください。
ジアゼパムっていうのはビットコインみたいなものです。
例えば、処方されているのがゾルピデム(マイスリー)10mgとアルプラゾラム(ソラナックス)0.4mgだとすれば、
ゾルピデムは10mgでジアゼパム5mgと同価、アルプラゾラムは0.4mgでジアゼパム5mgと同価ですから、
ジアゼパム換算でゾルピデムが5mg、アルプラゾラムが2.5mgとなり、ジアゼパム計7.5mgとなります。
さあ、次はジアゼパム換算を使って減量していくステップです。
具体的には、
①50mgまでなら10mg/week
②30mgまでなら5mg/week
③20mgまでなら2mg/week
④20mg以下は1mg/week
という風に次第に減薬していきます。
服用量が多いほど減薬しやすいのですが、少なくなるにつれ、離脱症状の出現リスクが高まりますので、
このように量が減るほどに減薬が難しくなるのです。
先ほど例であればジアゼパム計7.5mgなので、
いきなり④から開始ですね。
ゾルピデムから減らすなら、ジアゼパム1mgは、ゾルピデム2mgということだから、
ゾルピデムを5分割して、2mgごとに毎週減薬していくことになります。
そう。
騙されましたね。
この方法は、割と難しいです。
・・・安全性をファーストに考えていますからね。
でもご安心下さい。
1/8減薬法は、超簡単です。
錠剤を1/8ずつ、
2週間毎に減量していくだけです。
例えば先ほどの例なら、ゾルピデムを10mg/8mg=1.25mgずつ、2週間毎に減らしていくだけです。
そんな小さく割れないよ!という方は、1/4ずつ減薬していき、副作用が疑わしければ減薬のスピードを落とす方法もあります。
これならさらに簡単ですね。
もちろん、離脱症状がバッチリでているのに、無理に減薬しないで下さいね。
あくまで、主治医に相談できないときの、苦肉の策だということを
改めてお伝えしておきます。ご利用は自己責任で!
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更新:2020.4.2
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